離婚後の親子関係  HP: Parent-Child Relations After Divorce

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離婚後の親子関係  HP: Parent-Child Relations After Divorce

年齢

就学前 (3 − 6 歳 )

・この年頃の子供は自己中心性が発達しているので離婚を自分のせいにしがちである。そして離婚した両親の関係を修復するための簡単な「修繕方法」を見つけようとする。例えばごきげんな絵を描いて父親の家に持っていったりする。特に男児は男性性を獲得するのに非常に重要な時期であるため、父親がいないことを恨めしく思う (Fracke, 1983) 。

青年期 (7 − 18 歳 )

・この時期の子供は色々な面で人生の過渡期にあり、両親の離婚はそんな彼らの苦しみを増すだけである。この年頃特有の様々な変化に子供が対応するのを支えるのに最も重要なのが親子関係であり、成長に伴う苦難を緩和するのが親子関係なのである。しかし離婚に直面しているとき、親は自らの人生の変化に対応するのに精一杯なので養育能力が減退する。したがって青年期の子供たちは親から助けや教えを得ることができない。離婚は親が子供と関わり合う能力に影響を及ぼす。親が別れてからの二年間は親が物理的もしくは心理的に不在となり、親子関係の混乱状態が続く (Hines, 1997) 。

・生誕から 16 歳までの間に両親の離婚を経験した子供を対象とした経時的調査によると、離婚を経験しない子供と比較し父親および母親との関係が稀薄となる可能性が二倍あり、つまり離婚を経験する子供たちは情緒不安定になったり、問題行動を示したり、心理学的治療を受けたり、高校を中退したりすることが多い (Hines 380) 。

・離婚すると母親も父親も子供に対し冷淡となり、愛情薄くなり、子供に対し一貫した指導をしなくなる。親権をとった母親は離婚後 2 年間は特に抑鬱状態になりやすく、包容力や親としての権威が低下する。親権をとった父親は離婚後 2 年間は通常子供に甘くなり自由放任に陥りやすい。しかし離婚後 2 年が経過すると親権をとった父親は、家族をしっかりまとめあげられるようになると報告されている。これはおそらく親権をとった母親と比較し経済的に安定しているからであろう (Hines, 1997) 。

・青年期の子供は就学前の子供と比べ、両親の破局をうまく切り抜けることができる。その理由は次の 2 点である。 (1) 友人関係が確立している  (2) 離婚の理由をきちんと理解できるため幼い子供のように離婚を自分のせいだと考えない (Hines, 1999) 。

成人( 18 歳以上)

・成人に達すると両親の離婚に対処する能力がかなり備わってくる。両親それぞれについて思っていることと、両親の絆が壊れたことを区別して考えることができる。両親それぞれとの関係を確立しているため離婚が親子関係に及ぼす影響は少ない。しかし、幼いときに両親が離婚し成人になると、母子の絆と母親の父親との関係は比較的区別して考えられるようになるが、父子の絆と父親の母親との関係はあまり分けて考えられない (Cancio, Orbuch& Thorton,2000) 。

 

性別

・性別に関しもっとも大きな問題は、離婚によって父子関係に悪影響が及ぶことである。これは、ほとんどの子供が離婚後母親と住むことになるからである。父親との接触が減り、離婚を父親のせいにしがちであり、それとともに父親も子供と距離をおくようになる。しかし、離婚後でも息子は娘と比較し父親と良好な関係を維持する傾向があることが明らかにされている (Cancio, Orbuch& Thorton,2000) 。

・女の子は感情を内にこめやすく、離婚に対し泣いたり背を向けたりする傾向がある。一方、男の子は感情を外に出し行動で表す。男の子は手に負えないような行動をとることが多くなるので、母親はこういう反抗的な息子に対し精神的な援助をしなくなる。父親は息子の好ましい行動を母親よりも十分に褒め、好ましくない行動に対しても親としての権威を持ってしっかり対応する。父親との堅い絆を維持することは女の子にとっても重要である。父親との関係が維持されていないと、同性愛的傾向を持つことがある (Berk, 2000) 。

・非離婚家庭で両親と同居している子供と比べ、離婚家庭の子供は成長するにつれ、両親のどちらか、通常は同性の親と密接な関係を持つようになる (Emery, 1999) 。 Alice M. Hines 著の「離婚による変化、青年期の成長と親子関係の役割」でも、同性の親と暮らしている子供の方が青年期の適応が良好であるという調査結果が示されている。

・ Hetherington は 1989 年に就学前児童のいる 72 の離婚母子家庭と両親の揃っている 72 家庭を比較し 6 年間にわたる経時的調査を行った。離婚家庭の母親は離婚後 2 年間は非離婚家庭の母親と比べ、子供との意思疎通が少なく、愛情をあまりかけず、子供をしっかり指導することができない。特に、離婚による悪影響は娘よりも息子の方に色濃く、離婚家庭の母親と息子の関係は悪い。 2 年経過すると母親の養育能力は改善し、子供との関係も良くなると報告されている。これは 2 年も経てば子供が離婚で母子家庭になったことに適応できるようになるためであると考えられる。離婚後間もなくは子供は親の言うことを聞かなくなるが、時間が経つにつれ改善する (Emery, 1999) 。

 

親について

・母親も父親も自分の親としての能力について憤ったり、混乱したり、不安に思ったりする。このような気持ちを味わうのは、離婚した親という新しい状況におかれ周囲の人々から疎外されているように感じるからである (Hines, 1999) 。

・子供が幼いと、離婚しても親子関係にはほとんど影響がないと両親それぞれは思っているが、それぞれの親が自分の息子 / 娘と他方の親との関係について考えていることは一致しない (Rossi, 1990) 。一般的に父親の母子関係についての評価よりも母親の父子関係についての評価のほうが悲観的である (Amato&Booth,1994) 。